久高島関係神事祭祀用語集           

           監修:安泉正祥(下段に紹介)   

 編集:西銘政秀

ア行

アイジュハタ:久高人が行くところ。アイジュ(行く)ハタ(所、場所)。祝詞に出てくる言葉。         

アガイベー:南風が終わり、北風が吹く季節(寒露の頃)。アガイは締める、終わるの意である。べーは拝で、締めの拝である。最後の拝。

アカッチュミー:大里家の男祖先神。女神(妻)はシマリバーと言う。両者は兄妹か夫婦か不明。

アカハンジャナシー:島から悪霊を祓い清める来訪神。(港や村落直しの神様、アカは魔除けの意味で赤色ではない)。着るものの色によって、アカ((赤)ハンジャナシー、オール(青)ーハンジャナシーと呼ぶ場合がある。神遊びに直接参加することなく見守る役割でノロを含むクニガミと元神がそれに当たる。長老格の神人。赤の事例:アカ ヤ ミョーブ(魔除け用の赤い幕)、アカララキ(魔除けをする御嶽)。(正祥)

アカトゥキンバイ:アカトゥキ(明け時、未明)に作るンバイ(おにぎり)の事。                                           1113日のアミルシ(アミウルシ=網降ろし)祭りの未明、各家庭では家の軒に、サバニの帆を立て、男たちがその下で「アカトゥキンバイ」を食して健康祈願をした。(正祥)                              

アカヤミョーブ:赤い魔除けの天幕の事。タムトゥ座の白い幕はミョーイと言う(比嘉康雄)。アカヤミョーブは首里城祭祀に登場する、金のミョーブ(屏風)に代わるものではなかろうか?(伊従 勉)の説。

アカララキ:アカラキ山。アカナムイ、久高島の門番的役割の神と言う。航海安全を祈願するする御嶽、魔物や悪霊を祓い島を防御する御嶽で、イザイホー七御嶽の一つ。5,000年前の久高第二貝塚である。大石ガ―との間で神の道あり。現時点で判明している一番古い貝塚跡と思われる。

 ※4月と9月のハンジャナシー祭りや7月のお盆明けの16日のハリガユーハーはこの御嶽の前の大君口でお祓いの行事が行われる。(正祥)

アガリ大主:アガリ(東方)のウプヌシ(神様)の意で、島に恵みと繁栄をもたらす神様。ニラーハナーの大神。ニラー大主も。史書には、ニライ大主、カナイ真司として出ている。久高島では、カナイ真司の代り?アガリ大主が居られ久高ノロが引き受けていた。

アギヌムン:アギ(陸上)ヌ(の)ムン(物、食べ物)。果実や野生の野菜等の食用植物等々。

アグル嶽:久高島に初めて永住したシラタルー夫妻の住居跡と伝わる御嶽。イザイホー七御嶽の一つ。  ンナグルがアグルになったか?百名→徳仁ガー一帯で七回宿を替え、その後ここアグル嶽に。 シラタルー・ファーガナシーの安住の地となる、その後現在の外間御殿辺りに集落生活が始まったのでは?

アグンハミー貝塚:アグンの神様と言いますか?アグル嶽を含めた貝塚地帯、一帯は、シラタルーとファーガナシーが住んだ場所との伝承で、久高ノロ家のヌンヂー(ノロ地)であった。シマーシヤマ貝塚とも言う。2100年前~900年前の貝塚でアグル嶽との関係。

アサガミ:朝拝み。対してユーマティー(夕拝み)がある。

アシタマーイ:アシタ(不明、早朝の意かも?)マーイ(廻る)の意。タティマンヌワカグラー神が壬の日の早朝、ハビャーンから島を廻りながら徳仁港まで二頭の白馬に乗り祓い清め、大漁や健康を祈願した。二頭の白馬は久高・外間の両ソールイ神と伝わる。

「アシタ」について(学研全訳古語辞典)に次の様に紹介されているが日本の古語とどう言う関係があるのだろうか?→ 「あした」の意味 朝。朝方。明け方。 徒然草 三一 「雪のおもしろう降りたりしあした」。

アジガユーヌハミ:按司時代の世の神の意。

 ※イザイホーの囃子ことば  むかし世や神の世、なかん世や按司が世、なまん世や大和世。(正祥)

アトーファーファー:お祈りする役割の婆さん。ティーンユタと同義か?

アナゴの子:久高島の草分けの根人、大里家の男性、天孫氏の時代?(村の創始者、大里家は外間より古い説(仲松弥秀、湧上元雄)。 アナゴ(貝人?)。

アナゴの婆:アナゴの子の妻と言う。

アマミウヤヌル:アマミ(古い時代)のウヤ(尊い、尊敬語)ヌル(祝女)。アマミ親ノロ、古い時代のノロと言い、チバイ小ヌルで外間御殿の前の屋敷。

 ※久高島が昔からばらばらに行われていた祭りを暦(英祖王統の時代に初めて導入)上に年中行事として、初めて整理した祝女と伝わる。察度王時代の祝女では無いかと言う。(正祥)

アマミヤーハンジャナシー:女神、 国創り神。アマミキヨ神。

アミルシ:男たちの漁労祭祀、アミウルシ(網下ろし)の意。

 ※新ソールイが各戸を廻ってこしらえたソールイ網を下ろして、大漁祈願するのが語源になったと言われる。(正祥)

アヤグ浜:アーラシーへのティルルに出てくる浜でニライカナイに通じる浜(ハビャーンか近くの浜辺が考えられると言われる、ハンジャナシーの渡来地)。与那原の東浜でも同名の浜が?

アラカ:植物名でアテカ、アザカとも。和名は長実ボチョージ。イザイホーでナンチュが頭に刺す儀式があり、繁栄祈願、麥穂祭ではお祓い祈願に使われる。斎場御嶽のウビナディーの壺にたれ落ちる聖水は、その上部の三種の聖木(アラカ、ススキ、籐ヅルモドキ)からのものだと言われている。

アラジャク:新酌の意で、16歳になり一人前の男としての初めての酌取りで親戚関係は勿論、皆んなの祝福を受けめでたい日である。

アリ:方位神が鎮まらない状態。「荒れ」の意。

アリクヤー

アリンダチ:ハビャーンの北端の岩礁。アリンダチのハブイシーがある。フィータチ祭りの大漁祈願の場所。

 ※比嘉の神々の原郷久高島下巻60ページは、海に向かって、左手から、サバンクチ、アリンダチ、イーンパナと言い、正祥は海に向かってアリンダキ、サバンクチ、イユヌクチト言う。

 ※2022/3/5洋子さん、サバンクチは根願、アリンダキは久高ノロ、イーンパナは外間ノロ管轄と言う。

アンティキャー:追い込み漁。浅瀬での追込み漁はシミャーミと言う。

アンプシ山:ハビャーン御嶽(アマミキヨ族の居住地?)の近くで、アンプシ(網干し)山で、場所名。

イイムイ御嶽:大里南風原在の喰栄森御嶽。源為朝の子、舜天王の墓だと言う伝承もある。大里西原集落の南側岩下には舜天の母である大里按司の妹のウミナイウハカが有る。西原のヌルドゥンチ(久高島遥拝あり)も。恵氏門中カミウシーミ資料によれば、大里天孫氏17,18,19代がここイイムイ御嶽に葬られていると記されている。(政秀)

イーチョーハリチョー:歌謡。クエーナ。フボー御嶽で歌われるという。首里に帰る国王一行の航海安全を謡ったのではないか?(赤嶺政信)。「船を糸(イチュー)の上に走らせよ」の意?波静かにと祈る様を歌っているのではないか?

 ※女の子たちのイーチョーハリチョーの踊りは神女になるための教育。対して、男の子は13綱と7月綱があり海人になる教育の祭りがある。(正祥)                        

イーンパナ:ハビャーンの東端の岩礁。イーンパナのハブイシーがある。7月綱でソールイがターキで捕った魚をこの岩に向けて備える。(正祥)  イユヌパナかも?

 ※比嘉の神々の原郷久高島下巻60ページは、海に向かって、左手から、サバンクチ、アリンダチ、イーンパナと言い、正祥は海に向かってアリンダキ、サバンクチ、イユヌクチト言う。政秀

 ※2022/3/5洋子さん、サバンクチは根願、アリンダキは久高ノロ、イーンパナは外間ノロ管轄と言う。

イキジャマ:生魂の祟り。

イキマブイ:生魂(せいこん、いきだま)。

イザイガー:イザイガーの際に新人神女が身を清めた井泉、ゾーンウプスーハーグァーとも言われた。

イザイニガヤー:新人巫女(神女、ナンチュ)イザイホーに参加、拝する新人巫女。

イザイホー:新人巫女就任儀式。ノロやヤジク達にとっては霊力更新の祭り。12年毎の午年に四日間にわたり行われる。

 ※「チミ ナンチュ ナイビタン(聞得大君に仕えるナンチュになりました)、ヌル ヤジク ナイビタン(祝女に仕えるヤジクになりました)」と謡われる事から、王府の関りが伺われる。畠山篤、西銘シズ聞取り。                                         

イザイホー小:古い時代にフバワク(フバワク)をイザイホー小と称したと言う。

イザイ山:イザイホーの主会場、新人巫女が夜籠りする七つ屋を設置した場所。久高御殿庭のハンアシャギ奥の森。プサティムイとも。

イシキ泊(浜):琉球国由来記に、ニライカナイの御嶽と記されていると言う。ニライカナイへの遥拝所、ニライカナイに最も近いとされている。五穀の壺が流れ着いたと伝わる聖なる浜である。ウプヌシガナシー祭りの祭場。国王も2年に1度遥拝したと言う。 ニライ大主とカナイ真司香炉。(湧上元雄)

イシキヤー:神女(オナリ神)兄弟(男である)。ファーガナシーが(イシキヤーよ 向こうの島=久高島に行こう)と言ったと言う。

イシナカグ:3個の守り石。マーナカグ。

イチャリ小:島建ての棒(トゥーチ棒ともシマグシナーとも言う)を祀っている旧家。アマミキヨ久高島での仮住まい先。その後ミントゥンへ。その他、向かって左側の香炉が、「大和マサブルーと言う名前の頭の良い人」と伝わりこれがどのような人物なのか知らない(故・福治正枝おばさん)。補陀落層がアマミキヨ縁のこの地に滞在したのでは??

 ※トゥーチ棒は、来訪神・ハンジャナシー村落や港から悪霊を追い払う棒で、それにより島に幸せをもたらすと言う。4月と9月のハンジャナシー祭り、(久高ノロの話、正祥)                                      

イチジャマ:生魂の祟り。久高島ではイキジャマ。イチジャマは本島辺りの発声。

イチマブイ:生魂。久高島ではイキマブイ。イチマブイは本島辺りの発声。

イティティグゥルー:イザイホーでナンチュ(新人巫女、イザイニガヤー)を先導する神女。シム門中輩出。

イティムトゥ5箇所の元家。外間根屋、外間ノロ殿内、久高ノロ殿内、大里家、ウプンシミ、大西銘、ナンザトゥ、イチャリ小、インニヤーの9があるが、どれがイティムトゥかナナムトゥかは人によって違い判然としない。

イナグジャク:女の酌願い(酌取り)。イナグ=ユナグ。久高島ではユナグジャク。「酌取り」は正式には「酌願い」が正しいようだ。シャクニゲー参照。

イノー:内海。礁湖。干潮時に潮溜まりが出来るところ。

イビ:神霊の依代。

イラチャ:かやぶき(茅葺)のうわむね(上棟)。各世帯の意も。

イラブー:エラブ海蛇。ユイムン(神からの贈り物)の一つ。

イラブーガマ:イラブーが寄り付く南西側の海岸線洞窟。久高ノロ殿内の採取権が有ったが現在は、自治会が管理しイラブーを採取している。

イラビ:アミルシの時、ウットゥソールイガナシーが麦計りをする事。

イリキニンジャラ:炒めた麦紛とサツマイモをこねた煮物。

イリプン:入り船。

インナヤー:屋号、インニヤーが正しいと言う。フルムトゥである。海のニーヤーの事。竜宮神を祀る家柄。

 ※語源:イン(海)、ニーヤー(根屋)であり、語源上はインニヤーが正しい。(正祥)

ウィキーマカネーユキ―マカネーとも言う。3月綱でノロがイリキニンジャラでソールイガナシーをもてなす事。

ウイレー:復唱すること。

ウカマガナシー:火の神。

ウカライ:供物。ウプヌシガナシーの時に、三十五のウカライ=三十五の神様に供える供物を言う。

ウガミグヮー:中の御嶽。久高ノロ管轄。

ウガン:御願。久高島では「ウグヮン」と発声。

ウタカムン:ノロ等の高位神人に捧げる魚などの供え物。

ウタキ:御嶽。聖域。12ヶ所。過去に祖先が生活し、現在もそのマブイが鎮まる場所。久高ではラキ(抱く)、ウガミ(拝む)、ムイ(森)、ヤマ(山)とも呼ぶ。墓とも関係している。久高島の北側から記すと、ハビャーン、ユチンジャナシー、アンプシヤマ、アグル嶽、フボー御嶽、中の御嶽、イシキ浜()、フンディ森、ウプンディヤマ、フサティ森(イザイ山とも)、ハンジャナヤマ、アカラ嶽、スベー嶽がある。

ウタティグァン:お願立て。

ウチャナク:昔は餅、最近は菓子3個入りの3皿。

ウッチ小:アマミキヨ島建ての中心地。棒を打ち立てたと伝わる。近くにイチャリ小がある。

ウッチュ神:ウメーギとも言う。ノロの補佐役。外間ノロのウッチュ神・西銘シズさんが有名。

ウティキン:フボー御嶽のそばの葬り場。「放置する」の意。ウティキンバン(畑)。)

ウトゥモー:御灯明。

ウドゥンミャー:御殿庭で久高御殿の庭の事。久高島は庭をミャーと言う。史書球陽に、「1677年久高島の御殿を毀つ」とある。

ウナイ:妹。姉妹、広くは女。ウナイ会館(婦人会館)等。

ウナイマカネー:フィータチでソールイガナシーがノロをもてなす事。

ウファティアギ:御初上げ。麦の収穫最後に最初に出自のミントゥンを中心に関係先詣をする。古くはサバにでミリキン浜へ行き、そこから二手(本部家経由ミントンと直接ミントンへ)に分かれて行ったという(仲村渠の古老・喜納功様、令和3年カー清掃時に聞き取り。平成25年5月8日取材時知念キヨおばーの弁では「最近見えないが外間の梅子おばーが良く来ていたよ」と言いよく知っていた。外間梅子おばー=外間根人の奥さん。

ウプグイ:大庫理、一番座の南東の角一帯の空間?ノロの香炉の場所。聞得大君の香炉の場所。最高位の祈りの場所。久高島の神女が務めた聞得大君御殿のお火鉢の祭壇のある主座である「大庫理、ウフグイ」からきているとの、鎌倉芳太郎、湧上元雄の説。

ウプシガー3,500年前の久高貝塚及び5,000年前の久高第二貝塚隣りの井泉で、その上部から入口付近にかけて「神の道」と伝わり、又井泉には南のアカラキ山に向かっているであろうと思われる香炉がある。大石井泉。大正5年の大干ばつの時、県の復興資金と島民の出資により改修した。

 ※当時の改修事業の碑文が壁面にあり、島の人たちへの伝文「後世伝う」とある。

ウプジン:白衣。

ウプクバラ:お母さん。

ウプグロー:お父さん。男。

ウプチングチ:ウプ(大)チン(君)グチ(口)、聞得大君や国王一行が渡島の際使用した港の出入り口。港の事をチミントゥマイ(君泊)と言う。一帯は5,000年前の久高第二貝塚で、アカラダキ(島の門番的役割の神)がある。

ウプンディ山ミリリツとも言う。久高島聖域のひとつ。雨乞いの山。

ウブン:魚、ンギャナスネー、イリキニンジャラのご馳走。

ウプグローター50才~69才の爺さんたち(ウプスー組)テーラーガーミー参加。16才~49才までの働き手はシマリーター。2150歳。「おとうさん」の意。

ウプジバー:祖母。

ウプシュ:大主。51~69歳の男。70才からは退役となる。

ウプジン:イザイホーの神衣。白い外衣。

ウプティ:大きい。

ウプティブラー:直訳すれば大きな頭。ハンジャナシー祭りの際の供え物の大きなンバイ(おにぎり)3個の事を言う。そのほか小さめのンバイ32個も備える。合わせて35のウカライと呼ぶと言う。35の神々。

ウプティシジ:神女によりつく(憑依する)神霊(兄弟や子供の守り神)。ウプティ(大きい)シジ(守護霊)。祖母霊。

ウプマーミキ:ソールイガナシー主宰の7月に行われる大漁祈願祭。海人の供出した米の神酒を備える事から「ウプマーミキ」と呼ばれる。大真神酒。ウプ(大きい)マ(麦に対して米で作った真の)ミキ(神酒)。

ウプヌシガナシー:旧暦2月(御願立て)と12月(シリガフー)に行われる竜宮神祭。健康祈願。2月が史書に出てくる「久高島行幸」と思われる。麦の初穂祭はいつ頃からか現在の1月のソージマティーに代わっている。

ウプンシミ:フバッチュ(神木フバの管理人)輩出の家柄。ファーガナシーが余生を過ごし、第二尚氏になって大西銘家から久高ノロを迎えノロを継承したノロ家であり、比嘉康雄聞き取りによれば、エーガーヌル、チナーヌル、斎場御嶽ヌルの香炉があると言う。(斎場御嶽ヌルとは、久手堅ヌルの事であろう。政秀)

ウボツヤ:天の神様。

ウマリカシ:家レベルの祭りで健康祈願である。6/24のウグヮンダティと12/31シディガフーの2回行われる。ティーンユタに依頼して行うと言う。

ウミジル:シムムトゥを出自としたウナイ神で西銘カメさんが勤めた時期がある。クサイとして、ウミトゥクゥ。

ウミトゥクゥ:男神でウミジルのクサイ。

ウミナイウハカ:源為朝と大里按司の妹の間に舜天王が生まれらと言われ、その妹の墓をウミナイウハカと伝わり大里西原集落南側の岩下にある。

ウミンチュ:海人。交易船(漁の場合も)に従事する男性。

ウミヌムン:海の食べるもの(魚や貝等)。ウミヌムン、アギヌムン(陸上の食べ物、食用植物等々)。

ウムイ:想い、おもろ、歌。歌種。

ウムリングヮ:由緒ある旧家の家レベル(民間)の祈願師。ファーガナシー、ハナヌテンドガミ、シラガハナの3名を指しているのであろう?

ウメーギ:ノロの露払い役(補助者)。ウッチュ神が務める。外間ノロウメーギの西銘シズさんが有名。

ウヤウムイ:青年男性の階梯。

ウヤウンサク:外間ノロ、久高ノロ、根願の神酒役(ウンサクの年長者3名が務める)ウンサクの早生まれの者。対して、トムゥウンサク(尻=遅生まれ)は祭りの参加者全体に神酒を配る役割。

ウヤガナシーの墓:久高島にしては珍しく内陸部にある墓で、シュラカマルーが葬られていると言う。(福治門中が管理)。何故内陸部に在るのかは不明。

ウヤピルギ:神人に就任する際に全ての神人の列席を得た仲間入りの儀式を言う。

ウヤフロー:先輩ムトゥ神(チヂフギに出席)。ウヤは親。

ウンサク:タムトゥの階梯に就任する前に就く階梯。神酒担当。本島辺りでは神酒をウンサクと言う。青年男性の階梯もウンサクあり(ナーディキー祭りでは15才~17才までの青年を言う)。

エーガー:親川(与那原在)の事。国王久高島行幸の際ウビナディをした。エーガーヌルが担当。

エーバンタ:百名のアイハンタ御嶽。エーバンタ御嶽。ファーガナシー渡島のティルル参照。

オーレーヌハンジャナシー:王礼乃神。太陽の神。

 

カ行

カー:井泉。久高島では「ハー」、「ガー」と発声する。

カグラヤ:天の神様。

カチャーシー:テンポの速い舞い。かき混ぜて踊る。形にこだわることなく自由に踊る踊り。バックに歌、三味線、太鼓が入る。

ガチントゥへーナ:カツオ漁の新造船の浄めのクエーナ。ガチントゥは不詳。

カベールムイ:久高島ではハビャーン(ムイ)カベールの森。竜宮神(タティマンヌワカグラー)が鎮まる。久高島では最高位の御嶽。

ガマ:洞窟。多くは原始人の居住。もしくは、仮住まいの場所。

カミダーリー:ムトゥ神によるティンユタ指名。神にいたぶられるの意。シラセ。

カミンチュ:神人。ノロや根願、根人、掟神や由緒ある旧家の司祭者(大里系統、大西銘系統、イチャリ小系統、ウプンシミ系統、イチャリ系統)。女性が多い。神女組織は、タムトゥ、ウンサク(ウヤウンサク、トムゥウンサク)、ヤジク、ナンチュの階級別になっている。

キキャーウウシマ:喜界大島。大島の喜界島の事。

キシクマーイ:アイゴ漁の事。旧暦6月と7月の新月前後に行われる。

 ※ソールイガナシー・・・ユイムンの祈願(昔は、キシクが寄ってこないとソールイの人徳が問われらと言う)。

キスク:キシクとも。アイゴの稚魚。ユイムンの一つ。

キミテズリノ神:国王即位後、必ず一代に一度現れ、国王を慶賀し奉る神(天神と言われる)。琉球における王権守護の男神であり、天神。 キンマモンと同一視されることがあった。キミテズリは「君手摩り」で三十三君?手をすり合わせて拝むという意。法政大学リポ。

 ※第二尚氏第二代尚宣威は、このキミテズリ神の祝福が無かったために王位を退き隠居したの有名。

 ※キンマムン(君真物)・・・琉球古神道(古来の宗教)の最高の神官、聞得大君によりつく(憑依)神。琉球古神道の最高神(琉球史辞典)。

ギンシブン:儀式の意。

グゥソー:後生。葬所の通称。墓。

クゥンジー:紺地の着物。

クゥンチャサンヌル:久高で一番古いムトゥ、ウプラトゥ・大里家(仲松弥秀、湧上元雄)の娘で超能力と美貌の持ち主。琉球王朝第一尚氏最後の王・尚徳(最後は中和説)の愛人で尚徳王の後を追って自殺したとされる。第一尚氏王朝。

クガニマース:久高島では、フガニマースと言う。正月に健康祈願で使われる。クガニ(黄金)マース(塩)。塩は健康祈願、鰹節は長寿祈願。

クニウガミ:ティンウガミ(家庭レベル)に対し、クニ(島レベル)の祈りである。

クンディ墓:グショーの大将の墓。ハミウシーミーの時参拝。祖先が視・ウヤガナシーを祀る最古の墓。                 ※場所を確認する必要がある。現在神人がカミウシ三―で拝んでいる場所では無いとの声がある。(正祥)

クンディ浜:ミガーの北側、墓所近くの浜。戦後期までは島外からの骨、この小浜から迎えた。(正祥)

クンブチ山:イチャリ小前の山。

グトゥ:夫。「旅アッチュル エーダー(旅にいる間は) ンナガ グトゥドー(皆んなの夫だよ)、クサバー クヮーサバ ワー グトゥドー(島で小魚を釣るようになったら私だけの夫よ)。

グゥンボー:一般的には「ゴボウ」を指し、場合によっては、夫と旅妻との間にできた子供を指す。

グルイ:芸能。狂う程踊り楽しむ。神事以外のアシビ(遊び)、つまり芸能を「狂」と沖縄で言っていた時代があったが、それが久高島に残った。久高島では神事芸能が平常で神と無関係な歌や踊りは「狂」と考えた。(比嘉康雄)  大島の尚富主踊りや八重山のトゥバラーマのアレンジ唄は男たちが持ち帰った! 

 ※久高島では祭りの後宴として、神様を喜ばすための踊りとも言われている。芸能としては、太鼓と歌声による一定の形の踊りの集団円舞と考えられる。カチャーシーで個々人の自由な踊り(歌、三味線、太鼓による踊り)(正祥)                                             

クサイ:対。夫婦。

クダカガー2箇所あり、玉城百名にある久高井泉で我那覇前とヒラバルグヮー前にある。          

クダカダー:ヒラバルグヮー前の久高ガーの向かいの田芋畑。

 ※仲村渠にある田芋畑。ミントゥン詣での時は、このクダカダーから田芋を受け取り、島の子孫繁栄を祈願した(1980年代まで)。百名詣での旧家は、外間、大里、ウプンシミ、久高ノロ殿内)(正祥)

 ※平成24年に、クエーナ保存会の井上真喜さんと同行の聞取りの際、ミントゥンの知念おばーは、「外間のウメコオバー元気?」と梅子おばーを良く知っていた。(政秀) 

久高集め庭:久高御殿の庭。久高御殿庭の事でしょう。おもろさうし1316、久高島行幸のおもろ。

クチゲーシ:言霊の呪縛から解放する儀式。クチは「口」、ゲーシは「追い返す」。

クニガミ:上級女性神職者。フカマ(外間)ノロ、久高ノロ、ニーチュ(根人)、フカマニーガン(外間根神)とそれらのウメーギの8神職者。シマの司祭団。 久高ノロ、久高のろウッチュ神、久高根人、外間ノロ、外間のろウッチュ神、外間根人、外間根願、外間根願ウッチュ神の8名で8人シンカとも言う。

 ※根願は外間だけで有り、久高根願は元々存在しない(正祥)

クルンミー:サバニを横に2~3隻組んで大島旅などに出かけた帆舟

グンティ:ふるさと訪問。他所に嫁いだ女性が生家で受けた御恩に対する感謝の訪問。

コバヅカサ:祖先神。フボー御嶽四御前のひとつ。フボー御嶽中央部にある。今帰仁お通しもあると言う。外間ノロ管轄。琉球国由来記巻十三。

 

サ行

サシカ:サバニの座する平板、前方から後方まで数枚あり。

サシブゲール:ソールイガナシーの就任式?正祥さん、洋子さんはソールイの「イリーヘーイ」と言う。

 ※久高の長老たちを調べたところ、その言葉は誰も知らないと。ソールイのイリへ―ィ(入れ替わり)だと言っている。(正祥)(※2022/3/5洋子さんイリ―へ―イでしょうとの事。

サナジ:ふんどし(男は13ディナで初めて着けた)。メーチャー(女用11歳から着けた)。

 ※おんなは6月カシチー・624日で初めて着けた。男女とも13歳と言う。(正祥) 調査要。

サバニ:漁師の刳り舟。ナラリグヮーとも。

サバンクチ:ハビャーン西側岩礁。サバンクチのハブイシーがある。

 ※比嘉の神々の原郷久高島下巻60ページは、海に向かって、左手から、サバンクチ、アリンダチ、イーンパナと言い、正祥は海に向かってアリンダキ、サバンクチ、イユヌクチト言う。

 ※2022/3/5洋子さん、サバンクチは根願、アリンダキは久高ノロ、イーンパナは外間ノロ管轄と言う。

サルマユー:イザイホーの粥の椀。

ザァクヌミチ:シマの外で死んだものへのウガン。ヌミチは「の道」。

ザン:ジュゴン。かつては、久高島の周辺にもいたとの事が史書にも出てくる。

シーグ:本島辺りのシヌグと同語と思われ虫払いの儀礼である。

シーミー:清明祭は沖縄の伝統行事のひとつで」、旧暦の24節季の「清明」の時期に行われる沖縄のお墓参り。クージシーミ―(王府のシーミー)、ハミ(神)ウシ―ミー、各家シーミ―があり、先ずクージシーミ―(王府の公事シーミー)が先に行われる。久高島はお墓には行かない。

ジール:地炉、囲炉裏。西威王産屋のジール。産後の母体を温める暖炉。

シキダムトゥ:ススキを二握りほど束ねた物のニ束。ススキの中に魔除け用の竹を3本入れる。(正祥)

シジ:再生する魂。守護力(神)。「筋」の意。 祖神。父方の血筋。

ジトゥーンバイ:村頭のンバイ。地頭(ジトゥー)のご飯、おにぎり意でしょう。

シバサシ:シバはススキ、ススキを3本又は5本束ねて家の四方に刺し(サシ)魔除けをする。久高島では旧暦810日朝マティーの後。

シマ:集落。シマジマ、クニグニ。

シマ―シ:浜の名称、シマ―シ貝塚が有る。アグンハミー貝塚とも言う。

シマグシナー:島建ての棒と言われ、ウッチグヮーの奥東側の丸い石柱?元々平珊瑚?に島づくりの棒を最初に立てた場所がある。イチャリ小にあり、魔よけの棒としての役目も。

シマジク島の軸の意。神様が降臨する場所。外間御殿近く、屋号ナーデーラの北東の角辺り。今はコンクリート張り。

 ※島の軸の意。神様が降臨する場所。イザイホーで神女たちがグキマーイの身支度をする場所。タモトゥの昇任の時は、ここで七回廻る儀式がある(5月の粟の収穫祭の前日)。(正祥)

シマリーター1620歳。シマリーは「シマの働き手」、ターは「たち」。 青年達。

 ※16才~49才迄の島の働き手。50才~69才をウプグローター(ウプスー組=テーラーガーミー参加)。15才はンナグナー。70才以上は退役。(正祥)

シマリバー大里家の女祖先神、男祖先神はアカッチュミー。両者は兄妹か夫婦か不明。

シミャーミ:浅瀬での追込み漁。

シムナカンシ:フマカ島近くの干瀬。※ペーンシとフマカの間の干瀬。

シャクトゥイ:酌取り。古くはシャクニゲー(酌願い)と言ったようだ=ピムー婆さんの録音から。酌ウガミとも。

シャクニゲー:酌取りの意味。ピムー婆さんの録音では「ウシャク ニゲー」となっている。

ジューマティー:シマレベルの健康願い。

 ※根願による島民の健康祈願。ノロや根人、掟神、ソールイガナシー等の祭りを執り行う神人たちへの感謝の祭りでもある。(正祥)

シューキ:刺身、菓子、ソーメン汁、ジュース等の髙膳に盛ったお供えのご馳走。

シュリユリター:ソージャクの雑役を終わりウンサクに階梯に昇格する神女の総称。

 ※シュリ(スリーズリー・揃って集まる)ユリ―(寄り集まる)ターは達。イザイホーの円舞等で先輩として祭りに参加する神女。イザイホーのティルルでは、ヤジョークーターと呼ばれ、ナンチュに寄り添う神女たち、別名ヤジクとも言う。(正祥)

シュンジャナシ:首里加那志、国王様。シュンジャナシ メデイ(国王のご奉公)。

ショウニン:正人。1669歳の男性。70才で退役。昔は村から分与された畑を村に返した。70才になると祭りの「ハカイメー=費用の供出」は免除される。(正祥)

シラシ:死魂の祟り。「知らせ」の意。

シラタル:兄神、玉城百名本部家から来た。ミントゥンのファーガナシーとは従兄妹。外間村の草分けの祖先、御嶽や殿をつくる。

シラタルー・ファーガナシーヤマガーの入口向にある。ハミウシーミーの時参拝。

シラミキヨ:男神。女神アマミキヨのクサイ。

シリィガフー:御願結び。ありがとうほどの意でもある。感謝の祭り。本来はシリーン(生れ)孵る(甦る)こと。

シルサージ:イザイホーの白鉢巻。

シンクゥチ:洗骨の意。寅年に行う。

スーカーワタイ:シマの外で死んだものへのウガン。「渡海」の意。

スベーラキ:島の南端にある御嶽で、ノロ、根願のウプティシジの居所。

スルバン:屋号。西銘徳太(五郎)の祖父が唐船の船長であったと言う。徳太の生家。

 ※徳太が一中(現首里高校)時代に伊波普猷、漢那憲和などとストライキを起こす。後に渡米、カリフォルニアで初代沖縄県人会長。久高島時代は私学塾・ユナンミのヤマガー(現在の郵便局の前)で久高ノロ殿内の故西銘松三おじー等と共に学んだと言う。

ソージ:禊。沐浴。

ソージマティー1月の麦の初穂儀礼と5月の粟の初穂儀礼がある。ノロ、根願、掟神がヤグルガ―で沐浴精進する。

ソージャク:シマレベルの祭祀の雑役を担う神職者。祭祀※定員7、任期3年(正祥)  5名?7名?

ソールイガナシー:竜宮神(ハビャーン森に鎮まるタティマンヌワカグラー)を司る60歳過ぎの男性神職者。ソーは竿で、ルイは取る役割の人でフカマ(外間)と久高の二人。1年おきに引き継いで交代する。引継ぎ式は10月のマーミキグヮーの晩に新ソールイの家で行われる。任期中(2年間)は誰に対しても頭を下げてはいけないし、島から外に出てもいけないと言う習わしである。

 

タ行

ターキビシ:ハビャーンの北東方向にある岩礁の漁場。

ターラヌクチアキ:イラブー漁の稼ぎで購入した米俵を開ける儀式。ムムハメー百甕の前日。

 ※海人(ショーニン)が漁で稼いだお金を、ソールイガナシーに供出して、お米俵を買い米俵の口を開いて祭りの神酒づくりや供え物として、お米を配分する事を「ターラのクチアキ」と言う。9月のハンジャナシーの時は「ターラのクチアキ」とは言わない。

ターンム拝:田芋に対する感謝の礼拝(仲村渠)。

タキバンチヌウトゥーシ香炉:タムトゥ座の香炉、御嶽に行けない場合のお通しの役割。

タキマーイ:御嶽を廻って祈る事。

タティ(トゥ)マンヌワカグラー:竜宮神。タティ(トゥ)マンは二頭、ワカは若い、高貴なグラー(鞍に乗った神様)。カベールムイに鎮まる。久高・外間両ソールイ神。二頭の白馬に乗った高貴な神様。

タマガエー:神女。御嶽の神霊が寄り憑いた神女。一定年齢になった主婦は全員なり、70歳までつとめる。ウプティシジ(祖母霊)を祀り家の祭祀を行うとともにノロの祭祀にも参加する。

タミャーウガミ:久高ノロ殿内と外間御殿の二箇所の庭での祈願。

タムトゥ6070歳の神女。神酒の接待を受ける。ノロや根願のお伴役。七マティーではフバの扇に白装飾りで唯一参加できる高位の神女である。

タムトゥ座(タムトゥ庭):外間御殿の真向かいの高座。久高御殿庭の神アサギの中の神坐)。首里城の北殿に設けられた神職の座「御タモト」の語が地方でも使われるようになったのでしょう(琉球国由来記、伊從勉)。

タメトモヂー:為朝岩、浦添城東端にある岩。源為朝との関連。ここから太陽が上がってくる久高島が見える事から神の島と言われたとの伝承もある。

タルガナー:久高ノロの名前、トゥンチグヮー(バイカンヤー)に香炉。二大ムトゥの一つ。西側に勢力。バイカンヤーの元々の名称はトゥンチグヮーである。

タルマミキ:主に麦粟で作った祭祀用神酒。樽真神酒。

チクドゥン:青年男性の階梯。

チヂ:頭頂。霊。

チヂングヮ:チヂ降りした子(人)。主に女を指す?

チヂウリ:チヂ降り。霊がティンユタに憑依した状態。ヌイン(乗る)。

チヂフギ:ティンユタに不特定の混沌霊を憑依させる能力を与えるための儀式。フギは穴をあけるの意。

チチャー大主:月神?

チチメー:麦ご飯。

チヂ:「頭部の頂上」から神が降臨すると言う。

チヂシラビ:チヂ調べで神役として誰が適任か調べる事。

チヂングヮ:不特定の混沌霊を憑依させる能力を持った者。

チミナンチュ:君ナンチュ(君のナンチュ)。

ティダ御川:知名崎灯台10メートル近くにある井泉、現在は水は無し。太陽神が降臨したと伝わり、国王一行の久高島行幸の際飲料水の補給をし、祈ったと言う

ティミーグスク:直訳すれば、積みグスクの意であるが墓である。高級神女の墓であるとされている。ハミシーミーの際にはお祈りをしている。王国時代は遠見台の役割だったと言われている。

ティンウガミ:特定家に於ける健康祈願。

ティーンユタ:家レベルの祭の司祭者。家レベルの霊能力者。

テーヤク:退役、退任式。

テーラーガーミー:太陽神。旧暦812日に行われる行事名。

ティガバカイ:祭りに使う米や麦を家族の人数分だけ計ること。 (ティガバカイ、マシ(枡)バカイとティルルに出てくる。)

ティキガナカ1ヶ月の中頃、15日前後。

ティダガアナ:太陽の穴。太陽は東の太陽の穴から出てくると信じられた。

ティブルガーキー:瓢箪ガーキ(植物が入っていた容器)。女達が瓢箪ガーキで汁を飲む儀礼が外間御殿のアサガミであると、弘前学院大学の畠山篤は報告している。

ティラバンタ:葬所。ティラ(ティダ)は太陽、バンタは断崖絶壁。

ティリリカサ:フボー御嶽内にあり、外間ノ ロ司祭、玉城へのお通しへのお通し香炉。

ティルマン ウガミ:離島の津堅島等から久高のムトゥ家に拝みに来る事。811日~13日頃であった。

テイルル:神歌。歌種のひとつ。立ったり踊ったりするときの祝詞。 ウムイは座って唱える祝詞。

ティン:家、家庭。

ティンヂグヮーン:病死や事故死で現世に未練を残した祖先の死霊の言葉をウムリングヮーをして語らしめて供養する儀礼。天地御願?

ティンヌジョウ:ハンチャタイの北東の角にある石積みの場所を指す。

ティンジウガ:天地御願。あの世に行けない祖先霊の祟りを除く。ティンヂグヮーンに同じ。

ティントウガナシー:天頭神。天の神様の総師。

ティンハミ:チヂングヮ

ティーンユタ:ユタは巫女(シャーマン)。混沌霊の祟りを取り除く。ムトゥ神のカミダーリにより指名される。家レベル(久高島内の数軒を担当)の霊能力者。

ティン ラキ:ティンユタがウガンの責任をもつ家。

トゥギャンディー:井泉。

トゥクゥヌハミ:床ヌ神。男性当主の守護神。

トゥムウンサク:(トゥム=後ろ、尻、年少)ウンサク、対して親ウンサクがいる。タムトゥ専用の4名の神酒捧げの役割と言う。

トウシン:唐船。中国貿易船。

トゥパシリ:一番座の南東側にある香炉。主婦のウプティシジが依りつく。現在では一家の守り神。

トゥン:殿。シマレベルの祭祀場。御殿。

トゥンチグヮー:現在バイカンヤーと言われているのは、正式には殿内小と言われ、久高ノロ・タルガナーの香炉が祀っている。

トォーングーミチ:葬列が通る集落北側の特定の道。

トートーメー:位牌を祀る棚。首里王府が中国から取り入れたもの。久高島では1923以降。

 

ナ行

ナウトゥミシュー:グルイの曲の一つ、徳の島阿権湾の尚家(たかしけ)は名字の「直富」を代々引き継いだ芸達者な家系で有ったと言う。その遊びや踊りが久高島の海人により伝わったのでしょう。大島旅➡八重山旅へ。 「直富主」と言う踊りがYouTubeで検索出来る。

ナギガタナ:ヒーチョーザーが持つ刀。外間ヌンドゥチに大小二つ在った(令和3912日島建て御願の際確認、政秀)。

ナーリイキ:名付。ナーディキーとも。名前を付ける事。

ナナムトゥ7箇所の元家。外間根屋、外間ノロ殿内、久高ノロ殿内、大里家、ウプンシミ、大西銘、ナンザトゥ、イチャリ小、インニヤーの9があるが、どれがイティムトゥかナナムトゥかは人によって違い判然としない。

ナナマティー:五穀関連祭祀である。ソージ(正月)マティー(麦の初穂祭)、3月マティー(麦の収穫祭)、5月マティー(粟の穂祭り)、6月マティー(粟の収穫祭)、ウプマーミキ、8月マティー、マーミキグヮー。

ナナリグヮー:サバニ。小さなサバニでしょう。

ナンダトゥ:屋号。原初のソールイガナシーと伝わる由緒ある家柄。

ナンチュ:成女。イザイホーを経てイザイニガヤーがナンチュになる)「チミナンチュナイビタン、ヌルヤジクナイビタン」の歌がイザイホーで歌われると言う。聞得大君に仕えるナンチュになりました。(弘前学院大学 畠山篤)

ニーガン:根神。シマの女性神職者。 根願🔛根人

ニーチュ:根人。ノロに配置された男性神職者。 根人🔛根願

ニーダムトゥ:シキダムトゥ(シキダムトゥ参照)のノロ用を言う。

ニーチッュバタ:根人旗。百足旗+日の丸旗+紅白旗? 八月マティー11日〜15日迄掲揚。

ニービキ:根引き。結婚。シラタルー(男)が結婚を嫌がるファガナシー(女でシラタルーの妹)がつかまった木を根ごと引き抜いたことから、根引きとなる。根っこごと引き寄せるほどの強い意志でプロポーズすべし

ニーントゥチウガミ:ニーントゥチウグヮンとも。子の刻の拝み。

ニブトゥイ:柄杓取り。神酒を管理し神女たちに配分する男性神職者。ニブは「杓子」、トゥイは「取る」。

ニラーヌハーグヮー:ハーは井泉の意。ニラーハナーの井泉を言う。古ムトゥのイチャリ小にあり水無し浅底。 ニラーヌハングムイ(ニラーの神の囲い井泉?)

ニラーハラー:海の彼方の場所。ニルヤハナヤ。ニライカナイ、久高島ではニラーハナー、ニルヤリゥーチュ(竜宮)ハナヤリゥーチュ。

ニラーフェー:ニラー拝。ニラーに向かい拝む事。

ニライ:海の彼方の他界。対して「カナイ」がある。

ニライ大主:ニラーハナーの大神。久高島では対として、アガリ大主。龍宮の神。

ニレーリュチュ:ニラーハナーにある宮殿。

ニンヌミグゥイ:死魂の祟り。「因縁」の意。

ヌルヤジク:ノロのヤジク。ノロに仕えるヤジク。ヌルヤジク ナイビタン。(畠山篤聞き取り、西銘シズ。)

ヌギファ:物に憑いた死魂を離れさせるウガン。ハナシ。「離脱」の意。

ヌンドゥチ:ノロ殿内。ノロ居宅で久高ヌンドゥチ、外間ヌンドゥチがあり祭祀の主要祭場となっている。

ノーサ:ススキを三本束ねた呪具。直すの意もある。

ノロ:最高神職者。久高島では通称ヌル。琉球王朝が500年ほど前に土地を給する官人としての女性神職者を任命。宮古や八重山では「ツカサ・司」。

 ※久高島では、殿内、畑、イラブーの捕獲私有権が与えられた。フカマ(外間)ノロと久高ノロがいる。

 

ハ行

ハイヤーグヮー:サバニのミニチュアでンバイを入れぬもの。ファヤーグヮーではないか?ファヤー(早い)の意ではないだろうか?(政秀)

バイカンヤー:今ではイラブーの燻製小屋となっているが、元々は殿内小もしくはタルガナーと言った。久高ノロタルガナー香炉がある。

 ※バイカンヤーは移入語(八重山のカツオの燻製場から持ち込んだことば)。正しくは、トゥンチグヮー(殿内小)である。羽地仕置によって、王府の久高御殿が壊され、ノロ殿内もその時に、現在の久高ノロ殿内に移転されたと考えられる。(正祥)

ハカイメー:枡で計るの意。各組、各家庭等から割り当てられた農作物や金銭を収受する事。

ハカン:下袴。

ハタガミ:前イザイホー経験者。

ハタス:ハタスニートゥバルとも。イシキ浜に流れ着いた五穀の壺の種をこの地に蒔き島中、国中に広めたと伝わる。聞得大君は麦の初穂祭に参加したと言う。南側に丸く石囲いした場所に壺を埋めたと言う。

ハチウクシー:初起こし。仕事の初め。一年中の商売繁盛や健康祈願をしながら皆んなで語らい遊ぶ。

ハッティ:島の産婆。上手。専門ほどの意。ある技(業)に長けていること。

ハティダニ:麦の初種蒔き。9月頃が最適な時期?令和3109日であった(旧暦94日)。

ハナシ:物に憑いた死魂を離れさせるウガン。ヌギファ。「離脱」の意。

ハニマンガナシー:ハニヌハンジャナシー。ハ二とは鉄の意で、この神はフーチガッタイ(ふいご)をシンボルにする鍛冶屋の神と言われている。…ほとんどのシマレベルの祭りに白衣で参列する。十一月には独自にフーチガミのお願をする。三年に一度、国頭郡奥間の「ウクマカンジャー」に参拝する。

ハヌシャーマ:グルイの唄で、カヌシャーマ(八重山唄の一節である)。久高海人が八重山旅の都度島に持ち帰り男女が遊んだのでしょう。八重山のとばらーまの歌詞を引用したアレンジ曲である。

ハバサ:香ばしさ。

ハビャーン:カベールとも。島の北端。ハミ(神)のまします場所?アマミキヨが初めて渡島したと言う。タティマンヌワカグラーはこの地から島を一周、祓い清め、人々の健康を祈願した。

ハブイ:草の冠。 籐ずるもどきで作る。

ハブイシー:ハビャーンのハブイを置いて祈る岩礁。

ハマードエー:竈(かまど)のお祝い。ウカマガナシーのお祝い。

ハミウシーミー:神ウシーミー。シーミーは二通りあり、ハミウシーミーとミンシュヌシーミー(各家)のシーミーがあり、ハミウシーミーを終えた後ミンシュヌシーミーを行うと言う。首里の公事シーミー。

ハミダーリ:神ダーリ。ムトゥ神によるティンユタ指名。神にいたぶられるの意。シラセ。カミダーリ。

ハミヌワキダン:神職就任保留願いの御願。

ハミンチュ:ハミ(神)ンチュ(人)。

ハマシーグ:害虫祓い。

ハラマンガナシー:ハリマンガナシー、健康の神。

ハンアシャギ:久高御殿庭中央の建物の事。

ハンザナシー:旧暦4月と9月にあの世から神々がシマを来訪する祭祀。ハンは「神」、ザァーナシーは敬称。

ハンザナヤマ:大里家向、水タンク設置の御嶽。

ハンチャタイ:ハンは神、チャタイは畑で神の畑の意。

バンドゥクマ:番所間でしょう。

ヒータチ:フィータチとも言う。ソールイガナシーが祝女に1年の始まりの大漁祈願のお願いをする儀式で、ハビャーンで行われる。イーンパナ、②アリンダチ、③サバンクチに向って三方拝が行われる。

ヒーチョーザー:ニラーハナーの雷神。

ヒーマブイ:死魂。

ヒジムナー:妖怪。

ヒブイ:煙。キブシとも。

ヒヌカン:火神。カマドの神。ウカマガナシー。

ヒャクハタチマンティラスヌハンジャナシー:五穀豊穣、植物の神。

ピザイサンニ:平たい米のおにぎり。

ビンヌースンヌー:ビンヌーとはビン(紅)の意で、ンチャティオージに描かれている鳳凰を指す

ピーマティー:火の祭りで、1月のミンニー(御願立て)と12月のミンニー(御願結び)がある。

ピシクミ:干瀬を踏む行事の事。

ピヨージン:火の用心。火災があった家で行われる行事。

ファガナシー:妹神。 百名本部家シラタルーとの対。ミントゥンの娘。ファーガナシーは舜天王統3代目義本王の孫娘との説がある(南走平家説、琉球王国の真実・系図地図等資料集 伊敷賢著)

ファーガナシーヌクヮッガミ

ファシギャー:飲料専用として利用した井泉。

ファーシブン:丸いお膳。

フィータチ:ヒータチとも。日立ちの意か?1月か2月のミンニーにハビャーンで行われ1年の漁の初めの祈り。

フカ:外洋。フカ(外)ウミ(海)に出ている。

フカマ:外間。二大ムトゥの一つ。東側に勢力。

フカマシー:フカマニーッチュ(外間根人)。

外間集め庭:外間御殿の庭。

外間殿:シマの中心祭場。外間御殿。ウプグイとも。

フカラク:麦の初穂儀礼のアサガミとユウガミの際、外間御殿とバイカンヤーで行われる共食行事の事。

フサティ:夫。「腰当」の意。

フサティムイ:久高御殿庭背後の森。イザイホーの際ナンチュが夜籠りする七つ屋が作られる。

フシマ:フーシマ(小さい島)の意か?徳仁港の向かいの小島。

フバナベー(拝):神女の健康願い。

フバワク:祭祀。フバヤクとも言う。神人の就退任式祭場で古くはイザイホーグヮーとも呼ばたと言う伝承がある。

フボー:クバ(檳榔樹・びんろうじゅ)

フボー御嶽:クボー御嶽、ウプウガミとも言う。ヤグルガー・コバヅカサ・ワカツカサ・ティリリカサの四御前。「アマミクヌムイ」として国の名勝指定。

フボージマ:久高島を指す。フバ(クバ)の島。

フボーネーカサ:外間ノロの別称。

フボーリー:久高人。特に男性海人。

フルヌウシジガナシー:便所の神様。

フルマグチ:古間口=遺老説伝・久高島由来記で出てきハタスと同一であるとの考えが多いが、実は違うのでは無いか?フマグチと言う場所が別にあり、これを古間口と記したのではないかと考えられるが?

フンデイムイ:ウプンデイヤマの近くのカマルーの墓の向い一帯と言う。アグル嶽に一時期住んだシラタルーとファーガナシーガ現在の外間御殿一帯に住み着く前に一時期住んでいたと所と言う(アガリウチンケーバ イチュタナーヤウミナテイ と言うファーガナシーのテイルルとともに「イキン小のおばーから良く聞かされた。福治洋子さん」

ブーシンカ:村を左まわりにして10軒ずつ割り当てられる夫役者。

ヘーシン:楷船。薩摩との貿易船。

ヘーナガーキ:新年の儀式。 「クエーナ(ヘーナ)を神に捧げる」の意。 外間ノロが早朝から捧げた。現在の旧正月以外にも、旧暦8月(夏正月)にもソールイガナシー原初の家・ナンダトゥでソールイが捧げたと言う。(正祥)

へーフー:葬式当日の夜行われる悪霊祓い。夜、人々が落ち着いた時間帯で行う。ボーンキャー迄。

ペールリウグヮン(御願):神職者に就任する者で浮気をした者が神の許しを得る儀式。ヘージュリの訛ったもの。ジュリは遊女。フェ―ルリウグヮン。

ペーンシ:フシマの南の干瀬。

ボーンキャー:集落はずれにあり、葬列が一時停止し儀式を行う場所。ボーは棒、ンキャーはウキンで置くほどの意(葬列に使った棒を置く場所)。この世と、あの世、神の世の交差点。

マ行

マーナカグ:3個の守り石。イシナカグ。真ナカグ、真の石(硬い石)。

マーミキ:米で作った祭祀用神酒。

マーミキグヮー:真神酒小。米で粥状に作ったもの。ウユーとも言う。一種の神酒である。

マクラカー:青年男性の階梯。

マシバカイ:枡で計り。

マチヌウヤサメー:松乃美神。マチヌシュラウヤガナシーとも言う。月の神。

マッティ:祭祀。久高島ではマティーと発声。 

マブイ:魂。「守る」の意。

マブッチ:米を粥状に炊いたもの。かつては麦粉を粥状にしたものであった。

マンサンウイエー:生後6日目の夜に行う誕生祝い。

マンブカネー:魂込めの儀式。カネーは「囲う」。魂込め(マブイグウミ)、魂呼び(タマスアビー)。

ミームンアシビ:ハンジャナシーの3日目のホーイホーイの祭りが終わった後も畑や海には出ては行けないと言われた

ミアムトゥ:シマレベルの祭祀をする三つの重要な始祖家。久高ノロ家外間ノロ家フカマニーヤー(根家)。

ミウプグイミンナカ:ミアムトゥにある香炉、特に外間御殿の方は重要で久高島の全ての神々が憑依(ひょうい)する拠点と認識されている。 ミ=御、ウプグイ=大庫理、ミンナカ=神香炉。

ミガー:ミー(新)ガー(川、井泉)新川。現在使用中の井泉で最北端。ウブガー(産湯)の役割。※ソールイの初ミンニーの沐浴、赤児の産湯、お墓参りした後の清め水として等。

ミキアタイ:神酒の当番。七ヤドゥイあるのでミキアタイも7名いる。

ミキハミヤー:ソージ役(祭りの雑用の世話役)が神酒等をフボー御嶽へ、頭に乗せて(ハミティ)運ぶ人。

ミシゲー:しゃもじ。🔛しゃくしはナビゲー。

ミチヌハリケー:憑依。道で悪霊に取り憑かれること。

ミチンダキ(三津武嶽):与那原町在の御嶽。聞得大君が久高島渡島の際暴風に遭い薩摩に流されたと言う。その後琉球に帰るもすでに妊娠しておりこれを恥じて首里に帰らず与那原の地で無くなり葬られたと言う。察度王統の頃の聞得大君の墓である。

ミッチャンスク:正月3日目を指す。

ミディキン浜:玉城仲村渠の浜、ミジキン浜とも。昔ウファティアギの際久高から寄った浜。シラタルーとファーガナシーもこの浜から久高に渡島したのでしょう。

ミプシ:運勢・健康の意。

ミプシグルグヮン:旧暦10月のジューマティーで根神が神職者への健康と祭を執り行う感謝を中心に島民の健康を祈る御願。外間御殿で島人の健康を願う儀式。

ミプシメーヌウグヮン:神レベルでの久高人のミプシを管掌していると考えられる(比嘉康雄)。

ミヤ:庭。久高島では「ミヤー」とのばす。本島ではナーと発声。

ミョーイ:タムトゥ座(タムトゥ庭)の白布(比嘉康雄)。ハンジャナシーの場合はミョーイは無い。

ミョーブ:アカヤミョーブ。大庫理の赤の天幕。

ミリリチュ:水り人は雨乞いの女神。ウプンディ山で謡われるフバワクのティルル。

ミルクグヮティ:ミー(新しい?)6月 天頭ガナシーの誕生日?旧616日。

ミンニー:壬の事であるが、広く壬、癸、甲、乙を指す。

ミンニービューィ:壬日和では? 神事を始めるのに良い日和である壬、癸、甲、乙の4日間を指す。

ミントゥン:玉城仲村渠アマミキヨ安住の地。アマミキヨ、シネリキヨリキヨの墓有と伝わる

ムイ:森。杜。

ムーチー:餅。旧暦128日に行われる鬼餅行事である。

ムチメー:祝詞。神殿での祈りごと。

ムトゥ:血族の始祖家。元。宗家。

ムトゥブ:玉城百名の本部家。シラタルーの出自家。子孫に、糸数の當山家系、知名の仲宗根家系。

ムリーバー:各元家に一泊した赤ハンジャナシーをニラーハナーにお送りする儀式。

ムンヌキ:悪霊祓い。

ムンパー:外間家の開祖(女神)。

ムンプジー:外間家の開祖(男神)。

メーチャー:腰巻。女性が11歳からつける。

メデイ:ご奉公。ユキガミーグヮ ナサバ シュンジャナシ メデイ、ユナグミーグヮ ナサバ チミヌ メデイ(男の子は国王にご奉公、女の子は聞得大君にご奉公)。

メーユキガ:一人前の男。

メーユナグ:一人前の女。

モーンミー:三角モーンミー。芝生が生えた広場、祭場でもある。三角の形は魔除けの意味がある。

 

ヤ行

ヤーシーグ:家庭の虫祓い。 旧暦729日にフボー御嶽で行う。(正祥)

ヤーミグルー:家を一軒一軒尋ね廻る事。

ヤグルガー:ヤグル井泉。フボー御嶽四御前ののひとつ。イシキ浜の壺を拾う為に禊をした井泉。一帯は1800年前の貝塚。ノロ達は麦の初穂祭、粟の初穂祭、フィ−タチの際に禊をする。

ヤシキヌウサンミ:屋敷の清めの儀式。

ヤジク:シマレベルの神職者。ノロにつきしたがう42才〜53才で祭りの世話役。ソージヤク(雑事役)になったタマガエー(神女)。「ヌルヤジクナイビタン(ノロに仕えるヤジクになりました)」の歌あり。

ヤドゥイ:屋取居、テント(アミドゥシ)。

ヤナムン:悪霊。直訳すれば、悪いもの。

ヤマガー:ヤマ川(井泉)。

ヤマゲーヤー大主:ゾーチマ長一さんの祖父。台湾で漁業を指導、海人の像建立。

ヤマヌムン:陸上の食べるもの。ウミヌムン。

ユイムン:寄り物。神からの贈り物。イラブーとキシク。

ユーガミ:夕拝み。ユーマティーと言う。

ユーハカラシ:葬式後死者の思いを聞くためにユタ(霊的能力者)を訪ねる事。

ユキガ:男。対して女をユナグという。

ユクミヤー:横目付役屋敷。王朝時代の薩摩藩の警察官が常駐した屋敷跡。

ユタ:霊的能力を持つと言われる人。沖縄本島辺りで言う「ユタ」は久高島には居ない。久高島では「ティーンユタ」と称した家レベルの霊能力者が神人が兼務しているケースあり。

ユチンジャナシー:カベールムイの南、ウパーマの陸上部。海の贈物を恵む神様。

ユチン浜:アーラシーへのティルルに出てくる浜。カベール一帯の浜だと思われる。

ユナグ:女。対して女をユナグと言う。

ユナグジャク:ユナグ(女)ジャク(酌取り)で女の酌取りである。

ユラウマヌ浜:死んだ馬が流れ着き、これを見てサバニを作ったの伝え。馬が寄り着いた浜、君泊の浜である。

ユンヌキ:葬式の夜、人々の動きが落ち着いた頃(8時、9時頃)に身内の者達が自宅に集まり悪霊を追い払う行事として、集落外れのボーンキャー迄声を掛けながら道行する行事。

ヨーカビー:旧暦811日で一年中で悪い日であると言う。妖怪祓いの日と言う。

与那古浜:与那原の東浜の事。地元ではユーナクと呼んでいる。今では埋立地となっている。

 

ラ行

ラキ:抱く。嶽の意もあり。

ルジン:胴衣。

リュウグゥーマティー:龍宮祭り。海で遭難し遺体が上がらない人の供養の儀式。

 

ワ行

ワカリカサ:ワカツカサ。フボー御嶽内にあり、久高ノロ司祭首里城お通しへのお通し香炉。今帰仁お通しとも。

ワラビナー:童名。一般的に祖父名をつける。

 

ン行

ンギプン:出船。

ンギャナスネー:ンギャナ=ニガナ(苦菜)のスネー(あえもの)。祝いの座に良く出た。ちょっと苦いが美味しい。

ンコウハタ:ンコウ(向かう)ハタ(ところ)、向かうところ。

ンチャティオージ:表に太陽と鳳凰、裏に月と牡丹が描かれた大扇。王府時代聞得大君から拝領したと言われる。

ンチャメー:案内、迎える。

ンチャメーヌフェー(拝):神様をお迎えする祈り(儀礼)。

ンナギ海蛇、イラブーのこと。フガー(雌)とブヤー(雄)と呼ぶ。ンナギヌシン(イラブーの汁)。

ンナグナー15歳の男子。ンナは「貝」、グナーは「仲間」。貝当番。ソールイの世話役。

ンバイ:ご飯、おにぎり。

ンモーカシー:芋をぶつ切りにして煮込んだもの。

 

 

監修者紹介

 

監修者:安泉正祥

・本文中、記載されています「久高ノロ・安泉ナエ」の子息です。

・ノロのご主人で、監修者の父・安泉松雄氏が存命中に書き留めた、久高島の神事祭祀についての「安泉松雄ノート」の存在を確認。

・ノロ家に生まれ、日頃から島の年中行事を目の当たりにした監修者は、母であります「久高ノロ」への想い、神事祭祀を書き留めた父への想いから、島の文化保存継承に目覚め、教員退職後から20数年集中的に取組み中です。

    編集者:西銘政秀